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歴史認識の問題じゃないと思うんだけどな

NHKの新会長、籾井勝人氏が早速やらかしてくれた件。

世間では、当然とか言うべきを言っただけとか言う肯定がある一方で、批判派の中にも実は籾井氏はなにげに強制連行を認めているじゃねという意見があったりと誰が味方で誰が敵かわからない状態でありますが・・・。

それはそれとして少なくとも籾井氏とオイラは歴史認識は共有できそうにないな・・・ということは措きましょう。
実は歴史認識はどうでもいいことだと思うんですよ。

問題なのはwikiのまとめから引っ張ると・・・

>特定秘密保護法に関する質問について報道が少ない・姿勢が政府寄り、との指摘には「(国会で)通ったこと。あまりカッカする必要はない」。
>竹島問題・尖閣諸島問題の質問ついて「日本の立場を国際放送で明確に発信していく、国際放送とはそういうもの。政府が『右』と言っているのに我々が『左』と言うわけにはいかない」。
>放送内容の質問については「日本政府と懸け離れたものであってはならない」。
という歴史認識とは直接関係ないところにあると思うんですよ。

この3項目ってまとめると、NHKは政府の方針により添えってことですよね。
で、ここはそうであるとした上で・・・。

NHKが政府の方針に寄り添うのが本当にいいのか?問題はそこです。

NHKは国営放送ではありません。公共放送です。
この違いは政府の側に立つか、国民の側に立つかの差だと思っています。さらに噛み砕けば、政府の方針に寄り添うか寄り添わないかということです。

国営放送といえば、わかりやすいところで言えば中国中央電視台や朝鮮中央テレビと言い切って過言ではないでしょう。

この2つのチャンネルの報道を見た時にあなたはどう思いますか?
放送内容が例えば、歴史上の意見の分かれる問題、それも中国や北朝鮮のカラム問題についてだったら。

放送内容は中国や北朝鮮の都合のいいものと思いますよね?

一方、公共放送の雄、英国BBCの場合はどうでしょう?
結果として英国にとって都合のいい内容だったとしても、上記2つの国営放送よりは信頼できると感じるのではありませんか?
それはBBCが第二次世界大戦中もその報道でイギリス軍を「我が軍」と報道しなかったことと無関係ではないでしょう。(まあ、BBCも不祥事は不祥事でありますし、政府との距離のとり方には苦労している部分も見受けられますが)

NHKも同じです。政府に寄り添った「国営放送」だと思われたら、放送内容が事実だとしても日本に都合のいい内容だと思われてしまうのです。
逆にBBC同様、政府批判をすべき時はする、そう言う放送局だと海外の人にも思ってもらうことができれば、その報道内容に信頼を持ってもらえるわけで、引いては日本の国益に適うのです。

今回の籾井会長の発言の一番の問題はNHKののそういう信頼を残ったことで、これはひいては将来の国益を損なう可能性も無視できません。

こういう言い方をするとアレですが、じゃあ、今回の籾井氏の発言を良しとする層にお伺いしたいのですが、仮にNHKが政府方針に寄り添うべきだとするなら、民主政権中に民主バンザイな報道をしたらどうでしょう?
政府に寄り添うというのはそういうことです。

そう考えると、じつは歴史認識なんてどうでもいい問題だと思いませんか?

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言葉の力

ありがとう、ごちそうさま、ごめんなさい。
最後の1つはちょっとトーンが違いますが、この3つの言葉って人間関係の潤滑剤です。

ありがとうって言われて悪い気がする人はいないだろうし(ごく稀にそうじゃない状況もあるでしょうが)、ごちそうさまはプロも含めて料理をつくった人にとっては何よりの報酬だと思います。
ごめんなさい、もこの一言が人間関係を救うことは多々あるはずです。

言葉の力って侮れません。日本語には「言霊」っていう言葉があるくらいですからね。

言葉は斯様に力強く、そして何より使用料はタダです。
どこも登録商標にしていないし、使用料を徴収する著作権団体(苦笑)もいません。

多分、使うにあたってのコストは1キロカロリーにも満たないエネルギーと、時には無駄なプライドを捨てる勇気が少々。

言われた側はそれなりにいい気分になるだろうし、言った側も損をするわけでもない、いわば正のスパイラルを生み出す手法の一つだと思うんですよね。

実際、ジョブズクラスの能力や才能があるのではない平凡なオイラのような人間には人生の荒波を乗り切る上で一番心強い武器・防具の一つであるように思います。

ちょっと前になりますが、そんな「ごちそうさま」を巡ってネットの一部で論議があったようです。

きっかけは

言い方は悪いが所得の低そうな人ほど、牛丼チェーン店で店員に「ごちそうさま」と言う(本来不必要なレベルの)礼儀正しさを備えているように思えるのは興味深い
というツイート。

確かに、上から目線(「興味深い」の部分)だし、根拠もなく人を「所得が低そう」と決めつけることも誤解を招きそうではあります。

で、その後色々炎上したようです。
これまで全くそんな印象はなかったし、僕自身も政府統計では低所得ではないけど、牛丼チェーンも含めて食事をしたらお店を出るときには「ごちそうさま」ッて言うようにしているし、子どもにもそうしつけている。(ちなみに、コンビニなどの販売店系だとここが「ありがとうございます」になります)

むしろ、ごちそうさまとありがとうがきちんと言える人は親がきちんと躾をしたんだなっていい印象を持つので、こう感じる人はどんな人なんだろうなと思ったんですが・・・。
はてな周辺でそこそこ有名な方みたいですね。

発言した方のオリジナルのツイートやブログは削除されたり閲覧不可能になっているので詳しい経緯はわからないところもありますが、まとめサイトなどを見るとご本人は・・・

僕が知る限りこの国はごちそうさまを言わないことで合理性のある処罰を受けるシステムはなかったはず
そのうち「ごちそうさまを言わないなら死ね」くらいは言われそうだな

などと反応を示されていたようです。

まあ、悪意で言ったわけではないでしょうし、ご本人もいろいろ不本意なところがあったのだろうと思うのですが、彼が(でいいんですよね?)最初に「ごめんなさい」と言っていれば多分ここまで炎上しなかったんじゃないかなどと思いつつ・・・。

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居酒屋甲子園はむしろ墓穴をほったんじゃないだろうか?

15日のNHK、クローズアップ現代「あふれる“ポエム”?!~不透明な社会を覆うやさしいコトバ~」で取り上げられていた居酒屋甲子園が話題になっています。

当該番組は見たが、正直、ものすごい違和感を感じました。
番組タイトルからも、これを肯定的に扱うのなら見続けるのは辛いな、いや自分とは関係のない動物園での出来事だと思って見ようと見続けていたら、微妙にトーンが変わってきます。

冒頭は居酒屋甲子園の概要。そしてこういう「やさしい」言葉が自治体の条例などにも取り入れられているということに展開し、再度居酒屋甲子園の参加居酒屋の店員に注目し、かなり過酷な労働環境である一方、客の更に「ポエム」をレタリングして出すことにやりがいを感じるなど、「ポエム」が彼のやりがいを支えている側面もあることが提示されます。
最後にはゲストの甲南大准教授の阿部真大氏とコラムニストの小田嶋隆氏がこの「やさしい」言葉や居酒屋甲子園が過酷な労働環境を同調圧力でごまかすための方便ではないかという方向性で喝破していきます。ただ、特に阿部氏は必ずしも全面否定ではないというトーン。

番組を見た時から、結構ネットで反響ありそうと思ったんですが、やっぱり話題になりました。ただ、予想以上に居酒屋甲子園に否定的な意見は多かったですが。

その後、Youtubeなどで居酒屋甲子園の動画を見たりしたのですが、番組のトーン以上に、微妙なイベントだと感じました。
そもそも、「居酒屋甲子園」と銘打つなら居酒屋らしく料理や接客を競うものかと思えば全く違うものを競っているという違和感は拭い去れません。

競う対象がその業種本来のコンピタンスからここまでズレるということに対して何らかのいかがわしさを感じるというのは当然のことではないかと思います。

ネットでもそんな声が出ていましたが、この動画から受ける印象はバブル期かその直後に流行った自己啓発セミナーを思い出させます。
そういう意味ではやはり言葉尻で熱狂させて、特定の価値観に巻き込んでいくということ
はあるような気がします。

そういう意味では、居酒屋甲子園の主催者側はNHKに抗議をしたらしいですが、この抗議はヤブヘビだったんじゃないかと思います。ただ、もしかしたらその主催者自信この価値観に絡め取られているのかもしれないとは感じます。

はてさて、この問題、どの方向に流れていくのでしょうか?

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靖国参拝に東南アジア諸国から政府レベルの非難がないというのは明確なウソだ

産経新聞の古森義久氏がJBPressで
「靖国参拝で日本が孤立」は歪曲報道だ むしろ日本を擁護する東南アジア諸国
なるエントリを発表している。

かいつまんでしまえば、要するに、靖国参拝で日本は孤立などしていないという主張だ。
何を以って孤立とするかは人それぞれの基準があるだろうし、日本が現時点で国際社会の中で完全に孤立しているかというとそれは確かに表現の誇張があるだろう。

だが、見逃せないのは同氏が
「東南アジア諸国からは、政府レベルでの今回の首相の参拝への非難は1月7日の現在にいたるまでまったく出ていない。」
なる主張をしていることだ。

これは本当だろうか?
いや、これは事実と異なる。
例えば、彼の初持続する産経新聞は(共同電だが)

シンガポールが遺憾表明 2013.12.29 18:40  シンガポール外務省の報道官は29日、安倍晋三首相の靖国神社参拝を「遺憾だ」とする声明を出した。シンガポールは、日本とも中国とも常に同じ距離を保つ外交方針を取っており、日中対立で明確な立場を示すのは極めてまれだ。

 声明は、尖閣諸島や竹島をめぐる中韓との対立を念頭に「最近の一連の出来事によって、地域の緊張が高まっている」と指摘。こうした状況下での参拝は「さらなる反発感情を引き起こす可能性が高い」とした。

 シンガポールは、2006年8月に当時の小泉純一郎首相が参拝した際も、遺憾とする声明を出している。

 旧日本軍は1942年、英国植民地だったシンガポールを占領。抗日運動を抑え込むため多数の中国系住民を殺害したとされる。(共同)

と報じているし、台湾も12日に

台湾「隣国の国民感情を傷つける行動すべきでない」 2013.12.26 17:39 [台湾]  台湾の外交部(外務省に相当)は26日、安倍晋三首相の靖国神社参拝に関し、「日本政府や政治家は史実を正視し、歴史の教訓をくみ取り、隣国の国民感情を傷つける行動をすべきではない」とする声明を発表した。(台北 吉村剛史)

と安部総理の靖国参拝を批判している。
まあ、台湾は古森氏の言う1月7日意向ではあるが、少なくとも
「東南アジア諸国からは、政府レベルでの今回の首相の参拝への非難は1月7日の現在にいたるまでまったく出ていない。」
という言説が誤りであることは明らかだろう。

仮に古森氏がこれをしならなかったとしたら、職業人としての能力欠如が疑われるが、彼のこれまでの経歴を考えると、しばしば事実に感情を優先させる傾向があるにせよ、こんなオイラが5分検索すれば分かることを知らなかったとは思えない。
となると、意図的に事実を隠したということだ。
つまり彼は嘘つきだということだ。

そして今日は
「失望」だけではない米国の靖国参拝への反応
というエントリを発表しているが、それは政府もそうそう一枚岩にはなれないのだから、賛否があるのは当然で、批判ばっかりじゃないよ!と一生懸命主張することが本質的な問題の解決になるとは到底思えない。

それを言い出せば日本政府だって一枚岩というわけではなく、菅官房長官は最後まで参拝に反対だったという報道もあった。国内世論だって、賛否が相半ばし、拮抗している。

彼のジャーナリストとしての気概が分かるほど彼のかいた文章を読んだわけではないのだが、目に触れた範囲で考えると、彼は事実よりもしばしば自分の信条を優先するカエサルの言うところの「信じたいことを信じる」タイプの人間であるように思える。

彼はもう少し現実をきちんと見据えた方がいい。

今週号のニューズウィークの1コマ漫画の1つは獰猛そうな牛と退治する安部総理で、靖国参拝が安倍氏にとって失敗だったということを示唆する内容だった(詳しいことを忘れてしまったのだが)

靖国参拝はお粗末な大誤算

この記事にもそいういう見方が現れている。

もちろん、NewsWeekが万能というわけではないけれども、世間的には産経新聞よりはかなりクオリティーの高いメディアと考えて間違いないだろう。
しかも上記記事の著者・Jバークシャ・ミラー氏は過去に韓国のいわゆる「告げ口外交」に批判的な記事を書いた人物で必ずしも中韓よりの見方をする人ではなさそうだ。

アメリカの「失望」が必ずしも参拝自体にあるのではないということが事実かもしれない。
だが、再三婉曲な意思表明をした上で、韓国が告げ口外交で、中国が突然の防空識別圏の設定で、国際社会からの厳しい視線にさらされ始めて、中国が引っ込み、韓国が海洋国家連合側に戻ってくる可能性が見えたタイミングで依りにもよってオウンゴールというしかない靖国参拝を決行した安倍首相にアメリカが失望したのは事実だろうし、彼の外交センスに大きな疑問符がついたのも事実だろう。

安倍氏が個人的心情を貫き通すのならそれはそれでいい。
だが、それは首相という座にある時ではなく、一市民として参拝できるときにやって欲しい。

首相の役割はあくまでも国益のためになることをすることだ。
個人的信条が国益に叶うならどんどんそれを推し進めればいい。
だが、個人的な信条と国益が相克したら国益を選ぶのが首相の責務だ。
そして、彼がこのタイミングでの参拝が彼個人や等の支持率向上ではなく、国益に叶うと判断してやったのなら彼は無能だと言わざるをえない。

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